私的考察置き場

主にアニメ、ノベルゲームを中心に私的考察を書き殴ります

9-nine- ゆきいろ 感想ないし所感の書置き

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 「9-nine- ゆきいろ ゆきはな ゆきのあと」は9-nine-シリーズの4作目で18禁要素を含む美少女アドベンチャーゲーム。発売はましろ色シンフォニーなどで知られる、ぱれっと

 この記事は9-nine-シリーズ前作、ここいろ、そらいろ、はるいろの内容を含みます。

 

はじめに

 ふわっとしながら、プレイ後の感想や個人的評価、私的考察を書き綴ります。できれば複数回周回してから書きたいところですが、体力的都合を言い訳にして一周のみの記事になります。気になるところは見返したりして補完しますが、細かいミス、思い込みによる誤った誘導、見るに堪えない間違い、などが散見される恐れがあります。生温かい目でお察し下さい。

 なお、プレイ後の感想ですので、ネタバレを過分に含みます。未プレイの方は致命的に感動を損なうおそれがあるので、ブラウザバックをする事を強くお勧めします。

 あと、記事を書くことに慣れていないため、見ずらい、拙い箇所が随所にあるものと思われます。あらかじめご留意ください。 

 

評価

 各5段階評価 =1 =0.5

 

・シナリオ      ☆★★★★

・キャラクター    ★★★★★

・音楽        ☆★★★★

・CG         ★★★★

・テキスト      ★★★★★

 

 

各評価解説

・シナリオ

 超能力、SF、恋愛、日常から始まる非日常の物語。全体の進行を通した感想は「凄く丁寧」。日常と非日常のバランスのとり方やシリアスとギャグの使い分け、各作ラストの引き方など、読み手を飽きさせず、続きを促す工夫が丁寧に凝らされています。設定の公開するタイミングと伏線の張り方、回収の仕方(ここいろとそらいろのナポリタン、そらいろで夢を見ると言った沙月とはるいろでの回収など)、熱い超能力者どうしの心をぶつける戦いなど、非常に読ませられる構成でした。

 ただ、まだ完結ではないことから現段階での所感ですが、シナリオの核といいますか魂と言ってしまいますか、テーマ性、メッセージ性が弱く感じてしまったのが個人的マイナス部分。私的に感じたテーマとしては「罪と罰」なのですが、ここいろの時点である程度表面化していたにも関わらず、置き去りにしてハッピーエンド(発火能力者の死と都の罪悪感)があること、ゆきいろで希亜が過去の経緯から人の死に対して嫌悪し、殺人犯に対しては憎んでいた(自分がそうなることも嫌悪していた)にも関わらず、能力を行使する  (罪を犯す)ことに対するテーマ的回答がパッとしないこと(もっとも黒幕は人間ではなく災害とみなせる部分が大きいし、回答に近いのものは多分"共に背負う"なのだけどそこには後のフォローが欲しいところ)がもやもやする要因。まぁ、テーマが掠っていれば都の問題については次作で触れそうな部分だと思います。希亜についてはシステム的に翔の一人称視点固定が邪魔していた部分もあると思うので、後のフォローを勝手に期待。

 マイナス点も挙げましたが、それを差っ引いてもストーリーの作り込みと見せ方は非常に高水準。尖ったアクや独特の癖が無いため、多くの人に受けとってもらえるような作品となっています。

 

・キャラクター

 ここまで全ヒロインの魅力を引き出し、圧倒された作品は初めてでした。何が凄いって、個別√でちゃんと他のヒロインが存在感を失わずに役割を持っていること。分割製作だからこそのこだわりが随所に光ります。シナリオ重視でも何人かいる内の一人が異彩を放つというのはよくありがちですが、バランス良く引き立てると言う面ではシナリオ面との進行の都合上難しく、大体グランド√のヒロインに注力されてしまいます。バランス良く各ヒロインの魅力を引き出す、つまり個別√で見せ場を作るためには、並行世界的解決方でそれぞれの問題解決に注力するのがベター。しかし、複数の問題があって上手くいかない事が多いのです。第一に各ヒロインの問題を深くしすぎると、ハッピーエンドを迎えても他のヒロインどうなった? となる。それに伴う弊害としてグランド√できれいに締めることが難しくなる。第二、制作上の問題なのでしょうが、個別√を制作する都合上時間との制約からか、複数のライターで同時進行することが多く、設定に齟齬が生じたり、他の担当のキャラとの絡みが極端に少なくなる。この二点が大きく思う事です。けど、この作品は並行世界的に事件を解決しているようで実はそうじゃない。一本のシナリオが確かに息づいている。一本のシナリオで通す場合、ヒロインの個別√は進行途中で枝分かれる手法は多いところですが、そうすると、余りにも順番によって格差がありすぎる。この作品では都が一番不憫な枠に該当しますが……、最後までその魅力(正ヒロインの風格)は褪せていませんでした。なぜか、それは各個別√はシナリオ進行の裏をなぞる形で、三者三様の見せ場があるからではないかと考えます。例えばここいろでは序盤も序盤で、核心に迫る展開より、日常を描くシーンの方に比重が傾いていた。このため日常に絡める形での進行として恋愛要素の相性が良くなる。次にそらいろ、謎に輪郭が浮かび、核心へ手が伸びる段階。序盤から設定の開示、調査、敵との対面そして戦闘と、シナリオが一気に進む状況に、とても顔見知りのヒロインとの馴れ初めから……とはテンポが悪い。そこで見事に嵌ってくれるのが、かの妹。妹だから一緒にいる、妹だから危なくなったら助ける/助けられる。他人じゃなく身内の分、詳細を省いても非常に説得力があります。まぁ、これは幼馴染でも説得力を持たせられますけれど、そうしてしまうと今度は都の立ち位置が危うくなる訳でして……、身内だからできるバランス感覚。だから最後までやるのが強烈に映る。さて、続くはるいろですが、そらいろの流れを受け、敵側にスポットライトが当たります。そこから新たな敵、黒幕の暗躍、戦闘、戦闘……と加速度的な展開。もともとあった主人公の日常シーンは削りに削れ、核心に一気に迫ります。シナリオ展開と日常描写のバランスはそらいろよりシナリオに傾いてます。そらいろは敵が最後まで正体不明であった分、鬱々としたミステリ的要素が強めだったのに対し、はるいろでは敵の立場、正体が描写されているので、少年漫画的な熱いバトル要素が強い。最初からフルスロットルな展開に隠れてしまわないキャラの濃さが求められるため、これまでのキャラ像から振り切れ、勝手に明後日の方向に飛んでいったデスカレー先輩が鮮烈に嵌まる。しかし、いくらデスカレー先輩がイロモノだからといって、恋愛要素を一足跳びに蔑ろにするわけにはいかなかったようで、戦闘終了後からの日常シーンの挿入は少しの失速感を感じるところです(それはそれで非常に面白かったのですが)。最後にゆきいろ、総力戦ということもあって、最初から進行がイレギュラー。高次元的視野を含めた進行であり、開示された要素をフルに使う展開。序盤からシリアス一辺倒な進行のため、ヒロインにはある程度の親和性が欲しいところ。しかし、シリアス面だけでは進行が煮詰まってしまう。そこで強烈に映えるの希亜のギャップですよ。前作までにもクールぶってはいるものの、ポンコツ疑惑は隠せていませんでしたが、素の一面から突然の甘々シーンにはやられてしまう人も多かったはず……!

 キャラの評価解説ですけど、シナリオのことばかり書いているような気がするな……。あと、個人的に推しは都です。あの正妻感が良いんですよねぇ。

 

・音楽

 特筆すべきはそのOP。各作で違い、かつ高水準。それぞれ曲調と言いますか方向性を変えてアプローチしているのも良いと思う点。力強いボーカルは深読み出来そうなムービーと相まって、感情に直接訴えかけてくます。BGMについては特別印象に残るものがありませんでしたが、それぞれの場面に即した内容であったのは確かです。

 

・CG

 やっぱり、エピソード毎に追加されるキャラの新規立絵ですね。分作と言う展開の方法をこう絡めてくるとは意表を突かれました。キャラの見せる表情が追加されるだけでも全く印象がことなってくるし、そのキャラと近くなった、もとい親しくなった気になれる。差分の偉大さを実感しました。

 ただ、戦闘シーンについてはもっとCGが欲しいところでした。与一の槍とか、イーリスの攻撃方法とか、あったらもっと映えそうなのが惜しい。

 

・テキスト

 文章自体に尖った癖がなく、主人公の一人称視点が中心ですが進行のテンポを損なうことがありません。雰囲気というか、明と暗というかアップダウンというか、リズム感すら感じる文章で飽きがやってこない。シナリオ構成だけでは誤魔化せない、非常に“読ませる文章”。キャラのセリフや主人公のモノローグは現代を意識しているのか非常に親近感を感じる内容であり、これが9の立ち位置も相まり、臨場感を演出するのに一役買っているのは確かです。

 

〇総評

 印象を一言でいうなら「凄く丁寧」。全面的に高水準なレベルを保ちながら、細かいフォロー(キャラの心象や小さな伏線など)があって、質が高い。分作で得られる制作時間という利点を多くの面で活かすことに成功している作品です。ジャンルがジャンルだけに万人向け……とはいかないまでも、嗜む多くの方に大手を振って進められる内容であることは確か。

 アニメ化とかしないかなぁ、眷属化のくだりはキスシーンで代用して行為は仄めかせるとかすれば……。9の見せ方? そこは演出の力の見せどころってことで。

 

 

考察的なにか

 すでに色々と考察が飛び交っていると思われるので、恐々としながらも考察をいくつか。続編が期待される中ですので、個人的覚えも兼ねて記載します。

ここいろのキャッチコピー“この世界はキミを「  」した物語だった――。”の「」

 ゆきいろ終了時点で明確な回答が仄めかされていないこの「」。テーマにも重要な意味合いのあると思われるこのキャッチコピーの内容が全く仄めかされないのは気になるところ。次作でゆきいろ以上の急展開があるとは考えにくいですが、ないとは言えない。完結していない以上断定はできませんが、これまでの展開、シナリオから当て嵌りそうなのをいくつか挙げてみます。

 まず、「」内の文字を考える前に、前提を考えます。

 

①この世界

 オーソドックスに捉えるならこの作品世界、主人公である翔の存在する世界です。しかし、これが読者側に投げられたものと考えた場合、読者を取り巻く現実世界を意味します。また、作品世界と一言で言えど、作中で登場する世界は4つあって、1.白巳津川市のある世界、2.ソフィの世界、3.イーリスの世界、4.9の世界。”この“と世界にかかっていることから、作中で一度も訪れていない2、3は除外できる。4については読者=9を素直に受け取るなら現実世界と捉えられるが、あえて分けて考える。そして、ややこしいのが1の世界で、9の介入で多くに枝別れしているので、その枝(世界)とも捉えられてしまう点。これについては後述の内容である程度絞ることができる。

 

②キミ

 定石なら主人公、或いは読者、若しくはヒロイン。サブキャラは除くことができる。9の存在はある種のワイルドカードと機能しています。ないとは思いますが、さらなる急展開で9が登場人物のいずれかとなった場合、展開、落ちを鑑みてまず”キミ“で間違いないでしょう。あとヒロインと一括りにしますが、現状、色々と伏線的余白が多い都が断トツで怪しい。

  

③物語

 9-nine-シリーズを示す……と思わせておいて誰かが行動した軌跡とかを指すかもしれない。

 

④そもそも誰の言葉か

 いや、キャッチコピーだから公式でしょ? ……と先入観を利用したレトリックかも知れない。この場合も主要人物で限られてくる訳ですが、二人称にキミを使う(使いそう)キャラって主人公と先生、都。いっそ主人公⇔都なら分かりやすいんですけどね……。

 

・「」に入る文字

 続いて本題。上項で述べた内容を含め、いくつか考えます。一文字なのはなぜか? ……フィーリングです。

 

◇愛

 ド定番、ストレート、王道。隠す必要ある? とすら思うけれども、すんなり違和感なく入るあたり王道って大事。作品内容的にはるいろのOP、EDに関連しますが、内容的には関連性が薄い。登場人物が愛に飢えてるって意味なら無理やり与一に紐づけできないでもないが……ここいろからの一貫性が薄い。嵌め込むなら、9=主人公、或いは都で、なんやかんやあって数百年後の別世界的なにかから1の世界を救いにきた……みたいな壮大なスペクタクルが欲しいところ。読者に向けて……というには人間関係を重視したり社会性を綿密に描いている訳でもないので、まずないでしょう。

 

◇殺

 インパクト重視。しかし、伏せると衝撃半分、効果激減。作品内容では主人公は精神的に追い込まれ、肉体的にも与一に何度も殺され殺します。主人公=9=読者と考えると”キミ“が全部つながる上、①は作品世界、③は文字通り9-nine-シリーズ、④は公式となり、きれいにまとまってしまいます。いや、きれいにまとまるんですけど味が薄い上、続編の重要性がいまいち欠けてしまうのがどうしても気になるところ。

 

◇探

 響き重視。違う方向にスポットを当てましょう。ゆきいろまでの作品内容での探し物(黒幕、魔眼)は見つかっていますが、探し当ててないものがあったとしたらどうでしょう。逆説的ですが、①を1、②を都(9)、③を軌跡、④を主人公とすると、あたかもまだ明かされていない本当の“都”がいるようじゃありませんか……! なお、②と④を逆にしても特定の枝の主人公を探していたとなれば意味が通ります。加えて、ここいろOPの「ReAliZe」が意味を持つ。この展開は是非とも見てみたいですねぇ。余談ですが、①を作品世界、②を読者(9)、③を9-nine-シリーズ、④を公式としても嵌まる模様。

 

◇壊

 一転して通常路線。作品との関連はOPで9が壊れたり治ったりしていること、主人公の心が壊れた(完全に壊れたのはここいろ、そらいろ)ことから。いや、作品事実に基づきますが、薄味ですね、これ。OPの9=都の心情とするならばまだしも……、けど、ここいろでは戻っている? 「ここから始まる物語」? ループの可能性……! 前言撤回、有りかもしれない。

 

◇騙

 作品内容では主人公(或いは読者)は敵サイドに何度も騙されているともとれなくないですが、実はまだ誰かに騙されているのかもしれない。また、読者=9と思わせておいて実は違うとか、とんでもない騙りがあるのかもしれない。実は主人公は存在しなかったとか、とんでも展開なら歓迎するところですが、収拾がつく気がしないからないだろうな……。

 

 

OPの9の字について

 OPで度々登場する9。OPの最初だったり途中だったり、何かしら意味がありそうなので考察。

 まず、登場部分について。

 

◇ここいろ

 OP冒頭キャッチコピーの後、散り散りになっていた欠片が結合し、9の文字になる

◇そらいろ

 OP冒頭、半分が砕けた状態

 中盤、天の影にかかる

◇はるいろ

 9の字は登場せず。□の中に「nine」の文字

◇ゆきいろ

 OP冒頭、砕けて散り散りになっていく

 

 説を挙げます。この9の字は都の感情とリンクしているのではないか、という説です。九條=9という安易な発想から。

 ここいろ:都は翔と恋人となり、想いを遂げる=9が完全になる

 そらいろ:天と翔の関係性を「仲の良い兄妹」と微笑ましく思ったままフェードアウト=半分が砕けた状態=片思いを継続。また、9の字が天の影にかかっているのは天が翔と関係を持った=都の前に天が立ちはだかる

 はるいろ:春風に嫉妬を見せるもそのままフェードアウト、翔と春風の関係性についての反応は描写なし=片思いのままフェードアウトしたから登場しない?

 ゆきいろ:記憶を読むシーンで、主人公と希亜の関係を知る=9の字が散り散りに砕けていく=想いが砕ける

 

 どうでしょう、はるいろOPがなにせ苦しいので、線としては薄いですが当たらずとも遠からずと思いたいところです。大方、登場人物としての"9"を意味するのでしょうが、別の方向性を考えて見ました。

 

都について

 第一作、ここいろのヒロインであり、正ヒロイン枠。ゆきいろ最後では次作でスポットライトが当たることが仄めかされる人物。そんな都の伏線としての余白部分を探ってみます。

 

◇OP「ReAliZe」

 ここいろOP。意味は調べると「気づく、理解する」。素直に聞く限りだと秘めた思いに気付いて欲しいという都の感情や取り巻く状況にリンクするんですが、怪しい歌詞がいくつかあるんですよ。2番とか1番と打って変わって、明らかに、ここいろの内容を踏襲していませんし。

 気になる部分として、"神様の導く言葉響く全てはここから""途絶えた/壊れた 夢/記憶"“裁かれし時切なさ押し寄せてくる”タイトルが大文字と小文字が混在している。何よりそのタイトル名、もう他の意味を隠しているようしか見えないし、挑戦状的な意図すら感じる始末。少し考察します。

 "神様の導く言葉響く全てはここから"

 直に受け取るなら、”アーティファクトの声を聞いた時から始まった”となりますが、作中で神様といえば白蛇様=ソフィ=イーリス。もし、彼女達のいずれかから声を聞いて始まった物語だとしたら、まるで意味(物語の開始点)が異なってきます。

 "途絶えた/壊れた 夢/記憶"

 ここいろでは一回バッドエンドを経験します。が、主人公視点で作中人物の記憶は壊れていませんし、途絶えてもいません。他に途絶えた記憶を抱えた誰かがいたのではないか? そう邪推するわけです。あと蛇足気味ですが、途絶えた夢と壊れた記憶は希亜と天に対応していたりも。

 “裁かれし時切なさ押し寄せてくる”

 作中で裁かれる=罰を受けるようなことといえば、バッドエンドはそれらしいですが、ハッピーエンドでは罰を受ける場面はありません。気付いてない潜在的罪(発火能力者の末路)に対して、いつか罰を追う……かもしれませんが、続く切なさ押し寄せてくる、には繋げにくい。ゆきいろまででの「裁き」で連想するのは希亜の能力ですが、ここいろでは発動する描写すらない。これも、いつか裁き(罰)を受けることを自覚しながら何かを実行している、何者かがいるのではないかと思う訳なんですよ。

・タイトルの大文字小文字

 商標の都合で差別化した? いやいや、そうやって先入観を利用したレトリックかもしれない。

 ありそうなのは、分解して考えることですが、Re AliZe と分けても後部が固有名詞でしかヒットしない。「アリゼ」さんは出てこないからまず違う。大文字だけ、小文字だけで読む。RAZ elie  調べると前部は国名の「イラン」、後部は人名で「エリー」。イラン出身のエリーさん、誰だ……。いや、elieの読みには「イーリ」とも、これはまさかイーリスの愛称か? ……こじつけが過ぎるか。イーリスはギリシャ神話(iris)からとってると推測できるから綴り的にも違う、エリス(eris)の方が設定的には正しい気がするけど、これも違う。では、特定の単語を読ませるため。怪しいのはA-Zの間のli(嘘)……あ!! AからZ! 最初から最後の間の嘘!! 待て待て、liだけではリチウム、歩兵隊のままだから、余っているeを足してlieにする必要が有る。だから意味合いは不完全な嘘、終わること(Zを越えること)で完成する嘘。そして前にはRe「繰り返す、再び」だから、元々の単語の意味を足すと考えられるのは2つ。

1.繰り返す、始まりと終わりの間の嘘に気づいて。

2.繰り返す、この夢(嘘)が覚める(終わる)前に気づいて。

1なら、気づいてほしい嘘だから不完全とするか、そもそもが歪な嘘とすべきか。そもそも嘘とは何か?

2は夢が覚めることでその夢は夢のまま嘘となる? 誰が夢を見ている? 何に気づいて欲しい?

圧倒的にピースが足りてないですねぇ。

ここで余談を少々。アルファベットの9番目の文字はi「愛」です。ここいろは愛というか恋だと思うので除外……したいけど、分からないですね。

 

◇都=9説

 これです。なぜ前項でこの説が自然に出てくるのか、考察します。

 まず、都の伏線部分について。

  1. “九“條
  2. ここいろ一周目における、石化までの行動の空白
  3. ソフィ曰く「心が脆い」
  4. コロナグループ
  5. ここいろのハッピーエンド

1.“九“條

 九の字がついた名字は白巳津川市では由緒正しい。九十九神社と同じように古来より何かを伝えている可能性がある。メタ的視点だと、タイトルと同じ意味を持つ字を嵌め込んでおいて何もない訳がない。……という、先入観を利用したレトリックかもしれない。

2.ここいろ一周目における、石化までの行動の空白

 5月1日に翔と別れてからの行動の空白。明らかにされていない分、何が起きていてもおかしくない。例えば、記憶を読む過程でオーバーロードの所在に気づくとか。それに、よくよく考えると石化してしまうのは妙なところがある。記憶を読んで与一が犯人だと判明するのは順当だけど、わざわざ人気のない夜の神社で「みつけて」対峙している。与一が人気を気にするのは分かったはずだし、探さなくても学校で話せば事足りる上、アーティファクトの形状も分かったはずだから先に奪えばいい。いや、あの都だったら、アーティファクトを奪うことには躊躇するか……。それでも、連続殺人犯に対して余りにも不用心な行動であることは確か。絶対的な自信があったのではないか。

 関連して、一周目の終了はゆきいろまでのバッドエンドとは違い、選択肢なしでタイトルに戻る。都の死=強制的なやり直しが発生、と考えるか。一周目は他の枝にはない独自性が与えられていると考えられる。そもそも、この演出がゆきいろ最後で示された剪定されてない状態を表すと考えるのが妥当か。

3.ソフィ曰く「心が脆い」

 何度か言われています。一周目における行動を観測した結果……にしては日付がおかしい。都が暴走する日以前に言われている場面があったはず。だから、ソフィは別の枝の都の行動を観測して断じているのではなく、その都度判断している。一周目のフォローにしては回数が多く、一周目の独自性を上げるとともに「心が壊れた」状態の再来を示唆しています。

4.コロナグループ

 描写が少ない。いや、ナインボールとかの設定とか、都の性格とか、メビウスリンクとのパイプとか、働きはしているけど、まだ何かある気がしてならない。コロナ=王冠がどうしても気になる。

5.ここいろのハッピーエンド

 バッドエンドで問題点を提示して起きながら、知らぬが仏を地で行く終わり方。ハッピーというよりベターと呼ぶべきエンド。つまり、都のハッピーエンドは他にある!!

 

 次に、9とは

  1. ソフィ、イーリス曰く遠い世界にいる
  2. オーバーロードのユーザー
  3. 顔、声、性別は一切不明
  4. 選択肢は9の意思
  5. 9と翔は同調可能
  6. ソフィの命名で白巳津川市の事件に絡む9人目の能力者から

 いや、これは読者(プレイヤー)に臨場感を持って物語を体験してもらうための演出でしょ? と思わせた先入観を利(省略)。

 上項の通り、9の素性は明らかにされてません。そして、オーバーロードの形状についても同様です。つまり、最大の伏線であるこの9の正体については物語のお約束上、既に登場している人物である可能性が非常に高く、そうすると色々とおいしくなる。

 各項について考察していきましょう。

1.ソフィ、イーリス曰く遠い世界にいる

 既に大きく枝分かれしてしまった世界。例えばソフィとイーリス。ある選択が大きな枝を産み、ほぼ別世界となったケースがある。可能性としてはオーバーロードの所有者になったことで枝別れした、などが考えられる。或いは、まだ確定していない今後発生する予定の枝からとか。

2.オーバーロードのユーザー

 オーバーロードについてですが怪しい部分が多い。まず、形状がそもそも不明である事。次に、意味は「過負荷」何に対してのかは明確にされていませんが、枝の乱立を避けるソフィの発言を鑑みて対象は世界と考えられます。そして、ソフィ、イーリス曰く御伽噺上のもの。千年前のアーティファクト流出はそれが実用の黎明期であったため起きた(故意な)事故。そして、そのアーティファクトを回収したのは紛れもなくソフィ/イーリス。これがおかしい。なぜ、アーティファクトの黎明期の生き証人であるソフィ/イーリスですら御伽噺上の代物なのか? ソフィが御伽噺とはぐらかすなら分かるがイーリスも同じ御伽噺上のものだったと口にしている。まだ明かされてない部分が有る。あと分かっているのは”世界を統べる王になれる能力“だということ。

 以上を踏まえ推測をします。まず、王と言う部分に着目すると、王=王冠=コロナ=コロナグループと連想を繋げられます。つまり、オーバーロードの形状は王冠で、コロナグループはその能力を持って財を成したことに由来する。よって都に縁があり適正がある。……飛躍しすぎでしょうか。オーバーロード自体がソフィの世界に存在していなかったかもしれないことを考えると、オリジナルがどこにあっても違和感は無いし、世界の眼と同じように代々オーバーロードを継承してきた家系と考えるのは荒唐無稽とまではいかないはず。

3.顔、声、性別は一切不明

 意図的とまでとはいえませんが、何度も反応が希薄だとか、はっきり分からない旨を返されています。裏を返せば、なにかに激しく動揺していても気づかれていない。そして正体不明。

4.選択肢は9の意思

 無個性な選択肢が多い。つまり、誰が9であっても分からない。あと、選択肢が増えたのはどこからか、ここいろのバッドエンドが終わってからです。あれは通らなければいけない枝だったのかも知れません。

5.9と翔は同調可能

 同調する条件は世界の眼を有している同位存在……でしたが、ゆきいろでは抜け道として眷属化の応用で世界の眼の因子を受け継ぐなら、繋ぐことが可能となっています。逆説的に、因子を受け継いでいるなら大本にも繋ぐことができる=観測可能=オーバーロード使用可能だと言えます。つまり、世界の眼を有した翔と関係をもったオーバーロード所持者は翔に繋ぐことが可能ということになる。よって9が翔の同位存在であるとは限らない、これは大きなポイント。

6.ソフィの命名で白水津市の事件に絡む9人目の能力者から

 9人目の能力者(ユーザー)と言う触れ込みですが、よくよく考えて見ると蓮夜は眷属化こそしていたとはいえ、はるいろ終了時点ではソフィ視点でもユーザーではない事になっている。まさか、全て見越した上で”九“條から9をとっている? 別世界の翔で同位存在であるとか言ってたのはわざと? この線は薄そうですね……。

 

 以上が、都=9と考えられそうな理由です。目的、動機はピースが欠如しているので不透明。  

 

伏線落書き
  • 白蛇様(はくだ・しろへび)の読みが違う理由
  • 輪廻転生のメビウスリングの輪廻転生→ループする?
  • コロナグループ
  • 九條の「九」
  • オーバーロードについて
  • 9の正体
  • ここいろ4月30日の与一
  • 二人目の石化犠牲者
  • ソフィーの暦が悪い(言い訳かもしれないけど期待)
  • ここいろメインビジュアルの桜とイチョウ→4月と9月(銀杏の収穫時期葉が黄色くなるのは11月のようですが……)次作は月がずれる?
  • 物語開始時の地震→もし、なんらかの意図で故意に起こされたのなら、急展開

 

次作予想

 現在執筆中に絶賛カウントダウンが進んでいますので、まず次回作発表であると睨んでいます。では、これまでの考察を踏まえ、勝手に妄想を膨らませて予想してみましょう。

 

 9-nine- ここいろ、ここから、ここまでの

 

 ソフィと9はイーリスを滅ぼすことに成功し、剪定できなかった不幸がおきた枝である最初の枝。都が石化してしまった枝を修正するため、最後の活動を開始する。

 しかし、そこでは元々イーリスが接触を断っていたためか、与一は魔眼の力を以前同様に使用していた。 

 剪定できなかった枝は残り続ける。よって、与一と都が対峙するその時に翔を立ち会わせることによって剪定、あるいは改変を試みた。しかし、与一と都が対峙した現場で都が石化することはなく、与一はアーティファクトを奪われ、一方的に無力化されている。なぜか、都は記憶を盗む過程で両親をはじめ親類の記憶を掌握し、九條家に伝わる家宝である王冠――オーバーロード――を知り、伝承をもとに契約を済ませていたのである。一見平穏に幕を閉じた人体石化事件。しかし、罪を過剰に意識する都はこの力をもっと活かし、多くの人を救うことを試み始める。三人目のオーバーロードの持ち主の登場による枝の乱立と混迷。ソフィーの協力を経て明かされる9の正体と目的。そして、9は語る「やっとここまでこれた。お願い、“私”を止めて――」

 彼女の夢が終わるその前に、これまで歩んできた相棒へ、告げる言葉と感情は。

 全てが終わった後、翔はオーバーロードを直接契約し、“あの日”に舞い戻る。

 

 この世界はキミを「探」した物語だった――

 

 

 勢いで書きましたが、無理やり感が否めないですね。突っ込まれたら何も返せなさそう……。そもそも、考察したものが活きてないっていうか。大体、イーリスが消滅した後の世界がどうなっているのかが良く分らない。因果関係がぐちゃぐちゃになるから、その地点毎で分岐するのが分かりやすいけれど、それって、枝が無数に増えるってことじゃ……。

 

 

 まとめ

 9-nine-シリーズは途中参加な私ですが、最初から追いかけていればと少し後悔しています。この先の見えない展開を考察する楽しみはなんとも言えないですからね……。続く作品は果たして続編なのか、FDめいた何かなのか、非常に楽しみながら待つとしましょう。

 さて、長々と考察めいた妄想などを垂れ流しましたが、ここまでスクロールしていただき、ありがとうございます。

 最後に、この作品の製作に携わる方々へ感謝を。次作、期待して待ってます!